素早く動き回って
スピード感のある動物と違って、いたっておとなしい植物のエンブレムは、車の関連ではそれほど多くはありません。
2 図形(複雑なデザイン・植物)6.1
図1 ジョルジュ・リシャール リシャール=ブラジエ オトモト シムス シムス=ヴェルベック グラーフ=ヴェッケルレ
幸運の印の四つ葉のクローバーをエンブレムとした、創業者兄弟の一人の名を冠したフランスのジョルジュ・リシャールは、1897年から独ベンツ・ヴェロのライセンス生産から始め、後にベルギーのヴィヴィニュなどを1902年まで生産していました。1903年にエンジニアのブラジエと合併し、リシャール=ブラジエとなり、1年間しか存在していませんでしたが、その四つ葉のクローバーは分社したブラジエを始めとしてその後も1930年まで使用されていました。同じくフランスのオトモトは戦後まで乗用車からオートバイ・自転車まで生産していましたが、普通の三つ葉のクローバーをエンブレムとしていました。創業者名を冠した英シムス、後にシムス=ヴェルベックは、1903年から1907年まで乗用車や商用車を生産していました。なお同社は世界で初めて車の前にバンパーを設置しました。創業者二人の名を冠した独グラーフ=ヴェッケルレはアストン・マーチン、フェラーリやメルセデスのスポーツカーを豪華仕上げにしています。
図2 オンメル 利凱士得 アーホルン・キャンプ 楓叶 中信力頓 ホルスマン
創業者名を冠した、仏オンメルはプジョーなどをチューンアップしてスーパースポーツカーを作っていましたが、そのエンブレムは麦の穂です。蘇州の利凱士得(lksdd)電動車は、遊園地用のEVマイクロバスやEV小型トラックを生産しています。所在地のアーホルン(楓)村の名を冠した独アーホルン・キャンプはルノーを改造したキャンピングカーを生産しています。吉利と力帆のJV睿藍(livan)汽車のEV小型SUVブランド楓叶(Maple)のエンブレムも、その名の通り楓です。低速EVの陝西省・中信力頓(Zhongxinlidung)工具製造は、緑の葉でしょうか。唐草模様のようなエンブレムのシカゴの創業者名のホルスマンは1902年から1910年まで大車輪のランナバウト乗用車を生産していました。
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図1 Georges Richard, Richard-Brasier, Automoto, Simms, Sims-Welbeck, Graf Weckerle Imperialwagen
図2 Hommel, 利凱士得電動車, Ahorn Camp, 楓叶汽車, 陝西中信力頓工具製造, Holsman Automobiles