少し趣向を凝らした
幾何学的図形を見てみましょう。
1 図形(簡素なデザイン) 1.19
図1 国機智駿 騰勢 泓源 博郡 裕隆2 ハイパロン
EV軽自動車の国機智駿(Zedriv)は綺麗な意匠ですが、何を意図しているのかは分かりません。元はリチウムイオンバッテリーメーカーであった比亞迪(BYD)とダイムラーのJVでEVに力を入れている深圳市・騰勢(DENZA)のエンブレムは、何かしずくのようにもUかVのようにも見えます。EV商用車を発表した浙江省の泓源(Hongyuan)のエンブレムは全くしずくのように見えます。到達距離700kmを達したEVの南京・博郡(Bordrin)は一つの図案で樹木の葉、火炎、馬頭、それぞれが環境保護、エネルギー、車を象徴していると言うことですが、これではシンボル作りに成功したとは言えないでしょう。台湾の裕隆(Yulon / Yue Loong)汽車の第2のエンブレムもしずくのようにも見えます。アジアのどこか、国籍不明のハイパロンは、イタリアのワン・ワン・ラボのデザインでEVバンを発表しています。
図2 ルートマン エインリデ デヴォン 之諾 モラッタブ 威盟 テムザ 坤行 トリッペル
独ルートマンは高所工事用のはしご車ブランド・シュタイガー(登る人)を出しています。スエーデンのエインリデは2020年にその自動運転EVトラック T-Pod が産業地域内無人走行の許可を得て実地走行しています。エンブレムは電流と言うよりも、道路でしょう。ダッジ・ヴァイパーをベースとしたスーパーカーを製造した、創業者名を冠した米デヴォンは数年で消滅しましたが、その意匠は何でしょうか。華晨宝馬(BMW Brilliance)汽車のEVブランド之諾(Zinoro)のエンブレムは二人が手を握り合っている意匠です。イランのモラッタブはランドローバーやサンヨン・ムッソーなどをライセンス生産しています。低速EVの江蘇・威盟(Weimeng)新能源も、どこかこれに似たところがあります。トルコのバスメーカーのテムザは車輪にTのようにも見えます。陝西・通家汽車の電動小型SUVブランド坤行(Kissun)は“kiss the sun,kiss the future”を意味するとしていますが、なぜか豊臣秀吉の馬印・千成びょうたんや大阪府の府章のようなデザインとなっています。船のプロペラの意匠は、戦前から水陸両用車を開発設計していた独ハンス・トリッペルです。
図3 金較 東工 中興智能1 智鋭 朗旭 緑彭 ナノフローセル ヴェクセル ディナルグ アプトリオン
Cの上から下に道路が来ているように見えるのは、キャンピングカーやトレーラーの蘇州・金較(Kingsway)房車です。河南省の鄭州・東工実業(Zeic)は、低速や商用EVなどを生産していますが、真ん中から出て来ている螺旋のようなエンブレムの由来は不明です。EVバスの河北・中興智能(Zonson)汽車もこれによく似ていますが、出所は不明です。安徽・智鋭(Zhirui, ZRAuto)汽車は特殊車両専門で、メルセデスベンツ商用車も手掛けています。湖北朗逸(Langyi)電動車科技の朗旭(Langxu)は低速EVブランドです。江蘇省の緑彭(Lvpeng)機車は主にEV三輪車を生産しています。リヒテンシュタインのメーカーでスイスに拠点を持つナノフローセルは、従来のリチウム・イオン電池の5倍の性能と言う、電解液を使ったフローセルを搭載したEVクォントやクォンティーノを発表しましたが、そのCを線対称にしたような立体的エンブレムは何を表現しているのか、よく分かりません。スペインのVEEL(Vehículos Extremeños Especiales Ligeros 極端特殊軽自動車)は1997年から2005年、続けてヴェクセルは2014年まで、車椅子で簡単に乗れるワンシーターのマイクロカーを生産し、スイスや米国にも輸出していました。ディナミカ・アルジェンティーナ(Dinámica Industrial Argentina)は、1960年代前半に最高時速75kmのツ―シーターのミニカー・ディナルグ(Dinarg)を出していました。チューニングの独アップグレイデッドは、オペル車をベースとした廉価な軽量2シーター・ロードスターのアプトリオンを10台限定生産しています。
図4 ボグダン1 スーパーアグリ 大江 万向 加順 IMSA ニンブス セグウェイ
ウクライナ唯一の自動車メーカーのボグダンは、花のような宇宙人の頭のような、よく分からない意匠です。創業者名鈴木亜久里を冠したF1コンストラクターのスーパーアグリは、鳥か雲のような意匠です。河北珠峰の大江(DuCar)三輪摩托車はオートバイメーカーですが、若干三輪EVも出しています。フィスラーのカルマを買い上げた浙江省杭州の万向集団はEVバス・万向(Wanxiang)純電動城市客車も出しています。香港に隣接する深圳市・加順(Jiashun)電動車は低速EVを出していますが、エンブレムは何かよく分かりません。メルセデスベンツのチューナー・独IMSA(Individual mobility, style + art)は、円内に長方形や三角形、それにIやSの字のようにも見えますが、よくは分かりません。米スタートアップのニンブスは、縦ツーシーターのEV三輪ハーロー(Halo)を出し、時速80kmと120kmの二種があります。電動立ち乗り二輪のセグウェイがGMと共同開発していた横二座席二輪車ピューマ(Personal Urban Mobility and Accessibility)は、セグウェイが生産停止したので見送られたようです。
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図1 国機智駿汽車, 深圳騰勢汽車, 浙江泓源汽車集団, 博郡汽車, 裕隆汽車2, Hiperon Motor
図2 Ruthmann, Einride, Devon, 之諾, Morattab Kohdro, 江蘇威盟新能源, Temsa, 坤行, Hans Trippel
図3 蘇州金較房車, 東工実業, 中興智能汽車1, 安徽智鋭汽車, 朗旭, 江蘇緑彭機車, NanoFlowcell, Vexel Automoción, Dinarg, Uptrion (Upgraded)
図4 Bogdan 1, スーパーアグリ, 河北珠峰大江三輪摩托車, 万向純電動城市客車 , 深圳市加順電動車, IMSA, Nimbus, Segway