マントラとは、本来サンスクリット語で
「文字や言葉」*1を意味します。「真言」2と漢訳され、「密教では仏に対する讃歌や祈りを象徴的に表現した短い言葉」*3を指しますが、中でも「バラモン教を始めとするインドの諸宗教において神聖視される呪文」*4の「オーン」ないしは「オーム」のことを言います*5 。
Mantra
Mantra (Om) *6
と言うところから、日本で言えば、呪文とよく似たお題目や念仏もこれに当たります。題目は日蓮宗で唱える「南無妙法蓮華経」の七字のことで、念仏は仏の姿や功徳を思い描いたり、その名号、浄土教系では「南無阿弥陀仏」を口に出して唱えることを言います*7。呪文やお題目・念仏を唱えるといつも同じ文句の繰り返しになりますから、聖なる呪文であった Mantra は、独英仏語共に転じて繰り返して使うスローガンや信条、さらに決まり文句やクリシェ(常套句)などの意味に使われるようになりました*8。日本語でも空念仏(からねんぶつ/そらねんぶつ)や空念誦(そらねんず)などと言いますね。ドイツ語( das Mantra )の場合、正式の複数形は Mantras となりますが、ドゥーデンがまだ認めていない Mantren と言う形もある程度使われています。
Sie wiederholte die beruhigenden Worte wie ein Mantra. (LIN)
She repeated the calming words like a mantra. (ditto)
彼女は宥め賺す言葉を呪文のように復唱した。
Il en a fait son mantra. (Wtf) *9 彼はまた件(くだん)のお題目を唱えている。
Niedrigere Steuern, so das Mantra der Liberalen, veranlassen die Unternehmen zu investieren, und geben so der Wirtschaft und dem Arbeitsmarkt neue Impulse. (Wtd)
減税――この自由党のお題目――は、企業に投資を促し、そこから財界および労働界に新たなインパクトを与えると言う。
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*1 ウィキペディア日本版「マントラ」 *2 同左
*3 同上 *4 同左
*5 同上「オーム (聖音)」 *6 同左「マントラ」
*7 同上「題目」・「念仏」参照。
*8 Wtf „mantra“: Credo, slogan, devise personnelle.
*9 idem
ハンガリーはこの数年来右傾化が激しく、メディアをすべて支配下に収めたナショナリズム政党が民主制や法治主義を根底から突き崩す政策を進めていますが、欧州連合としては十分な対応策がなく、混迷を極めています。
Offene Gesellschaften als Lebenselixier der Demokratie - dieses Mantra hat der junge Student Soros dereinst an der London School of Economics von seinem damaligen Professor, dem Philosophen Karl Popper, übernommen. Dabei sind es die Stiftungen des mittlerweile 86-jährigen ungarisch-amerikanischen Investors und Philanthropen selbst, die mit ihren Menschenrecht-sprojekten, ihren Förderprogrammen für Minderheiten und Medien in mehr als hundert Ländern regelmäßig Hass-Attacken auf sich ziehen. In Ungarn hat er es zum Staatsfeind Nummer eins gebracht. (Cathrin Kahlweit, SZ, 16.01.2017)
開かれた社会こそ民主主義の活力源――このお題目をかって若かりし頃ロンドン経済政治学大学の学生であったソロスは、指導教授で哲学者のカール・ポッパーから受け継いだ。ところが、まさにその 100 か国以上における人権問題プロジェクトや少数派やメディアの援助活動のため常時ヘイト攻撃に晒されているのが、この今では 86 歳のハンガリー系アメリカ人の投資家で慈善家自身の財団なのである。ソロスはハンガリーでは国家の敵ナンバーワンにまでされてしまった。(『南ドイツ新聞』カトゥリン・カールヴァイト)
トランプがハイチとアフリカ諸国のことを“肥溜め国”( shithole countries, dt.: Drecksloch-Staaten )と呼んだことに対して世界中で大きな反響が出ました。
Diesmal bestritt Trump nicht, einen harschen Ton angeschlagen zu haben. "Aber das war nicht die Sprache, die ich gewählt habe", twitterte er - auch wenn ein demokratischer Senator weiter steif und fest behauptete, Trump habe den Begriff "Drecksloch" benutzt. Trump griff die Demokraten in der Sache an: "Es scheint, dass die Demokraten wollen, dass Leute und Drogen über unsere südliche Grenze ins Land strömen und dadurch tausende Leben gefährdet werden", schrieb der Präsident. Und weiter: "Es ist meine Pflicht, das Leben und die Sicherheit aller Amerikaner zu schützen." Er wiederholte sein Mantra, dass man eine Mauer an der Grenze zu Mexiko errichten müsse. (SZ, Christian Mayer, 12.01.2018)
今回はトランプは厳しい口調だったことを否定していない。「しかしその言い方は私が選んだ言い方ではない」と――民主党上院議員の一人がトランプが“肥溜め”と言う言葉を使ったとの前言を引っこめないのに対して――ツイッターに書いている。トランプ大統領は民主党を内容面で攻撃して、「民主党はメキシコ人らと麻薬が南の国境から我が国に押し寄せて来て、こうして何千人もの生命を危険に晒すのを望んでいるのだ」と書く。さらに「全米国人の生命と安全を保護するのが私の使命だ」と続ける。そこでトランプはメキシコ国境に壁を築く必要があると件のお題目を復唱することになる。(『南ドイツ新聞』クリスティアン・マイヤー)