前回で見たように
ドイツでは鼻でしたが、米国ではこれが手や指の長さになります。
共和党大統領候補指名選で結果的には法螺吹きトランプに敗れたマルコ・ルビオですが、その討論会でトランプを本人が一番気にしていることで揶揄(からか)ったことがありました。
In response to the property mogul calling him “little Rubio”, Rubio conceded that Trump was taller than him. However, the Florida senator suggested Trump had small hands for his height. "And you know what they say about guys with small hands," Rubio said with a smile, prompting stunned laughter from the crowd. / After a brief pause he added: "You can't trust 'em!" The crowd responded with applause. (NBC News, Alexandra Jaffe, February 29, 2016)
不動産王トランプがルビオのことを「ちびのルビオ」と呼んだことに答えて、ルビオはトランプは彼よりも背が高いことを認めはした。しかしフロリダ選出上院議員ルビオはトランプは背の割には小さな手をしていると続け、「で、皆さん、小さな手の男のことを世間では何と言うかはご存知でしょう」とニヤニヤ笑いながら言ったので、聴衆は当惑気味ながらも笑い出した。少し間を置いた後で、ルビオはさらに「そんなこと信じたりしたらダメですよ」と付け加え、聴衆の大喝采を浴びた。(NBC、アレクサンドラ・ジャッフィー)
これを聞いたトランプは激怒したことでしょうが、なんと次の集会で聴衆を前にしてわざわざ弁解しているのです。
Donald Trump assured American voters Thursday night that despite what Marco Rubio had suggested, there was "no problem" with the size of his hands -- or anything else. "Look at those hands, are they small hands?" the front-runner for the GOP presidential nomination said, raising them for viewers to see. "And, he referred to my hands -- 'if they're small, something else must be small.' I guarantee you there's no problem. I guarantee." (CNN, Gregory Krieg, March 4, 2016)
この木曜日の夜、ドナルド・トランプは選挙民を前にしてマルコ・ルビオが仄めかしたことに対して彼の手――または別のもの――の大きさに関しては何ら問題ないと言い切った。「この手を見てください。小さな手でしょうか」と共和党の有力大統領候補トランプはその手をかざして聴衆に訴えた。「あのルビオはこの手について、『手が小さいなら、あっちも小さい』と言っている。皆さん、大丈夫です。全く問題ない。保証します。」(CNN、グレゴリー・クリーグ)
これではまるで小学生の言い合いです。大統領選挙でペニスのサイズが問題となるなど前代未聞のことです。筆者は以前からトランプは精神年齢10歳くらいだろうと思っており、他人にも言っていましたが、本件でこの推測が立派に証明されたことになるでしょう。QED
そもそもルビオがこんなことを言い出したのも、手がトランプの弱みであることを知っていたからですが、その切っ掛けと言うとトランプが彼のことを「ちびのマリオ」と嘲ったことですから、手痛いしっぺ返しとなりました。今ではこの致命的な弱点が衆人の知るところとなってしまったからです。それまでは、知る人ぞ知る話として次の逸話がありました。
In seiner Show "Last Week Tonight" hatte [John] Oliver darauf aufmerksam gemacht, dass Trump für einen angeblichen harten Kerl reichlich dünnhäutig ist. 1988 habe die Zeitschrift "Spy" den Immobilienmogul einen "Vulgären mit kurzen Fingern" genannt, erzählte Oliver vor kurzem. Der Herausgeber des Magazins bekomme seither immer wieder Fotos von Trump zugeschickt, auf denen er seine Hand markiert habe, um auf die Länge seiner Finger hinzuweisen. Meist lege Trump einen Zettel dazu: "Sehen Sie, doch nicht so kurz!" (NTV, Hubertus Volmer, 04. März 2016)
ジョン・オリヴァーはその風刺番組『ラストウィーク・トゥナイト』で、トランプは剛毅さを装っているが、実は非常に傷つきやすいことを話題とした。オリヴァーの言うところでは、1988年に雑誌『スパイ』が、不動産王トランプのことを「短い指の無骨者」と形容したことがある。それ以来その雑誌の編集長のところにトランプから定期的に指の長さに目が向くように手のあたりにマーカ―で印をつけたトランプの写真が送られて来るようになった。大抵の場合「そんなに短くないだろう、よく見ろ!」と書かれたカードが同封してある。(NTV、フーベルトゥス・フォルマー)
これに続けて、ある雑誌で実際にトランプの手形(ニューヨークのマダムタッソー館所有)をダウンロードして自分のと比べてみる企画がなされ、身長に対する手のサイズの平均値も出されています。それによると――こんなことは全くどうでもよいようなことですが、ここは一つトランプの精神年齢に合わせてみると――実際に小さなことは確かなようです。
The scientifically objective results: Trump does indeed have hands just below average size, particularly for a man standing 6-foot-2. According to various human anatomy websites, the average-height American adult male (5-foot-10) has an average hand size (measured from the tip of the middle finger to the wrist) of 7.44 inches. Trump's measures 7.25 inches. (The Hollywood Reporter, Benjamin Svetkey, August 3, 2016 )
科学的に客観的な結果が出ています――トランプの手は実際に標準よりも小さい、特に6フィート2インチの背の高さからして。ネット上の各種の解剖学サイトによれば、平均的身長の米国成人男性(5フィート10インチ)の平均的な手のサイズ(中指の先から手首まで計測)は、7.44インチである。トランプでは、これが7.25インチとなっている。(『ハリウッド・レポーター』ベンジャミン・スヴェトゥキー)
Trumps Hand
Chiaua
Foto: The Hollywood Reporter magazine. Foto: Jenny Fulle: My Chihuahua's hand, er, paw 8:19 PM - 3 Aug 2016
大きな手の犬ですね。チワワだと言うのに。トランプが大統領に就任する日のドイツの朝刊に蛾の新種発見に関する記事がありました。発見者には学名の命名権があります。
Neopalpa donaldtrumpi, Motte, hat ein Frisurproblem. Gelblich-weiße Schuppen auf dem Kopf des Falters erinnerten den kanadischen Insektenforscher Vazrick Nazari an die Frisur von Donald Trump, 70, und brachten ihn auf die Idee, die Motte nach dem designierten Präsidenten zu benennen. Im Fachmagazin „Zoo Keys“ schreibt Nazari, dass die bizarre Motte ausgerechnet in Kalifornien und Mexiko lebe. Die sogenannte Palpen-Motte hat eine Flügelspannweite von einem Zentimeter und besitzt einen besonders kleinen, gekrümmten Penis. (SZ, 20.01.2017)
ネオパルパ・ドナルドトランピ(蛾)は髪型の問題を抱えている。この蛾の頭の黄色っぽい白色の薄片を見てカナダの昆虫学者ヴァツリック・ナザーリはドナルド・トランプ(70歳)の頭を思い出し、この蛾を次期大統領に因んで命名することにした。学術誌『Zoo Keys』にナザーリは、この珍奇な蛾は選りによってカリフォルニアとメキシコに生息していると記述している。このいわゆるパルプ蛾は翅の開張1センチで、特別小さな、曲がったペニスを有している。(『南ドイツ新聞』)
「選りによって」と言うのは、トランプはカリフォルニでは全く人気がなく、メキシコとは名指しで敵対関係にあるからです。命名の真の意図は、髪型などよりもその蛾の異常に小さな交接器と言うところにあるのではないでしょうか。トランプのコンプレックスを煽るような蛾は、絶滅の危機にあっても助けてもらえないでしょう。書き遅れましたが、以前からトランプの異様に長いネクタイが注目されていました。
Zur Nachrichtenlage nach zwei Wochen Präsident Trump gehört so viel, dass auch dies hier nicht untergehen soll: Propecia. So heißt das Mittel, das Trump seinem Leibarzt zufolge nimmt, damit ihm die Haare nicht ausfallen. Wirkstoff: Finasteride. Zu den Nebenwirkungen gehören Impotenz und Depressionen. Nicht enthüllt wurde bisher, was dem Mann so fantastisch lange Schlipse wachsen lässt, dass er nie, nie, nie - weder beim Amtseid noch beim Regieren - das Sakko schließt, damit alle das sehen können, was auch immer es bedeuten mag. (SZ, Peter Richter, 06.02.2017)
トランプ大統領が誕生して以来2週間の報道は、その数が非常に多いため、次の記事も埋もれてしまわないよう再度採り上げた――プロペシアは、トランプの侍医によるとトランプが常用している脱毛治療薬である。その薬効成分はフィナステリド。副作用としてインポテンツとうつ病がある。今までにまだ暴露されていないことは、トランプはなぜあんなに長いネクタイを締めているのかと言うことで、トランプはどんなことがあっても、就任の宣誓でも、雨が降っても、絶対に背広のボタンを掛けようとはしない――それは誰であろうが、それ――それが何を意味するのであろうとも――それが長いのを見ることができるようにするためなのだろう。(『南ドイツ新聞』)ペーター・リヒター)
necktie 1
necktie 2
necktie 3
Trump und seine Krawatte
Fotos (von links nach rechts): Businessinsider, The Kansas City Star, Daily Cos
こんな話ばかりしていると男性にはひょっとすると巨根羨望などという隠された願望があるのかも知れないと妄想するようにもなってきますが、精神年齢10歳と比較するのもあまり意味のあることとも言えません。かって無意識の重要さを発見し、精神分析を基礎づけたフロイトですが、その理論的中核の一つとして女性のペニス羨望( Penisneid - penis envy - envie de pénis )という概念を提唱しました。これなどは男尊女卑社会のイデオロギーを浮き彫りにしたもので、仮にそういうことが当時彼が診療したウィーン上流社会の女性たちの間に見られたとしても、女性一般に対して主張するとなると、著しい拡大解釈と言わざるを得ません。またこれに対応する男性の去勢不安( Kastrationsangst - castration anxiety - angoisse de castration )などと言うのも牧畜文化のなかった日本などでは思いもよらないことで、ペニス羨望に負けず劣らずのナンセンスでしょう。幼児期におちんちんをちょん切るよと脅されて育ち、生涯去勢不安に悩む男性が稀にいたとしても、そのような例外的存在を男性一般の無意識に求めることも不当な拡大解釈でしょう。特に日本では割礼などの風習もなかったため、全く根拠のない頓珍漢な見解だと言うことになります。