一般的に生物には、
個体の維持および種の保存のための生活機能および生殖機能が備わっています。細菌などは細胞分裂で増殖するため、雌雄の区別が必要でない無性生殖となります。それより高等な生物の有性生殖の機能を満たす器官が、生殖器(独Fortpflanzungs-, Zeugungsorgan 英reproductive or regenerative organ 仏organe reproducteur, appareil r, o. de la reproduction )または(独Genital, -ien 英 genital 仏organe génital, partie génitale, génital )です。動物などでは、性器(独Geschlechtsorgane, -teile, Sexualorgane 英sex organs 仏sexes, parties sexuelles )とも呼ばれ、特に交接のための外性器を指します。また陰部(独Intimbereich 英pudendum 仏intimité, partie intime, pubis )、古めかしい言い方では恥部(独Scham, Schamteil 英private parts 仏parties honteuses )などとも呼ばれています。
内性器としては、生殖巣があり、女性の卵巣(独Eierstock, Ovarium 英ovary 仏 ovaire, m.)、男性の精巣(独Testikel 英testicle 仏testicule )または睾丸(独Hoden 英testicle 仏testicule )などに当たりますが、後者は熱管理のため体外に突出したもので、実際には内性器です。精巣を体温より低い外気に曝して冷すという、空冷式エンジンみたいなものです。また女性の子宮(独Gebärmutter, Uterus 英womb, uterus 仏utérus )は受精卵を育てる容器になります。
外性器の場合、男性器と女性器は一見してずいぶん違ったもののように見えますが、発生学的には両者にそれほど大きな違いはありません。その形状も受精後8週間あたりまでは両者は未分化です。
Geschlechtsentwicklung
出典:みーの医学 © http://medi.atsuhiro-me.net/entry/2015/11/26/011056
その後の性別分化・発達過程で細胞の変異など何らかの障害が発生したり、また遺伝子レベルでの異常などが起きると、性分化疾患、いわゆる両成(ふたなりZwitter 英hermaphrodite, androgyne, intersex 仏hermaphrodite, androgyne )や半陰陽というインターセックスないしは両性具有形態(独Hermaphroditismus, Androgynität, Zwittrigkeit 英hermaphroditism, androgyny 仏hermaphrodisme, androgynie )となります。
以下外性器の名称を列挙します。
○ 無難(標準変種)、△ 微妙(俗語・スラング)、☓ NG(卑語)、☠ 自己責任(卑罵語)、Ⓜ 医学・法律その他の公式語、Ⓘ 幼児語
Ⓜ○ |
性器 |
Geschlechtsteile, Ge-schlechtsorgane, Genital(ien), Schritt |
genitals, genitalia, sex organs |
organes génitaux, organes sexuels, sexes génitaux |
Ⓜ○ |
陰部、恥部 |
Scham |
private parts, parts |
pubis, parties honteuses |
○ |
男性器 |
männliches Geschlechtsteil, Gemächt |
male genital, mannhood |
organe génital masculin |
Ⓜ |
ペニス、陰茎 |
Penis |
penis, phallus |
pénis, verge (f) |
Ⓜ○ |
男根、陽根 |
Glied |
member |
membre viril |
○ |
女性器、女陰 |
weibliches Geschlechtsteil, Gemächt, Weibsgemächt |
female genital |
organe génital féminin |
Ⓜ |
陰唇、陰裂、陰門 |
Vulva, Labien, Geschlechtslippen, Schamlippen, Scham, Venuslippen |
vulva |
vulve |
Ⓜ○ |
膣、バギナ、ワギナ |
Vagina, Scheide, Spalte |
vagina |
vagin |
Ⓜ |
大陰唇 |
große Schamlippen, Labia majora pudendi |
large vulvar lips, labia majora |
grandes lèvres, lèvres extérieures |
Ⓜ |
小陰唇 |
kleine Schamlippen, Labia minora pudendi |
small vulvar lips, labia minora |
petites lèvres, lèvres intérieures |
Ⓜ |
クリトリス、陰核 |
Klitoris, Clitoris, Kitzler |
clitoris |
clitoris |
Ⓜ |
睾丸 |
Hoden |
testicles, testes |
testicules |
Ⓜ |
陰嚢 |
Hodensack, Scrotum |
scrotum, scrotal sac |
scrotum |
Ⓜ○ |
乳房、バスト |
Brust, Busen |
breast, bosom, bust, chest, |
sein, poitrine |
魚類などでは雌雄ともに水中に卵子や精子を放出する体外受精が多く見られます。魚の中には、毎年決まった時期に無数の雄と雌が一同に会し、それぞれ卵子や精子を放出する種類がいます。そこに放出された卵子や精子を食べに他の魚が集まってきて、さらに鯨までやってくる場合もあります。そうなると受精卵も根こそぎ食べられてしまって、あまり効率のよい生殖法ではありません。魚でも交接する種類もあり、中でも立体的に側面から水槽を見られるような水族館に行くと、映画『ジョーズ』で有名となったホオジロザメ( Weißer Hai - great white shark - grand requin blanc - Carcharodon charcharias L. )などの種類では、ペニスが2本体外に並んでいるのを見ることができます。その仲間のシロワニ( Sandtigerhai - sand tiger shark - requin-taureau, requin des sables - Carcharias taurus Raf. )と言う名のサメでは、卵胎生ですが、常に子供が一匹しか生まれません。というのも、最初に孵化した一匹が他の受精卵や未受精卵を食べて胎内で成長するからです。全く何とも不経済なやり方ではあります。また最近発見されたカリフォルニアのセコイア国立公園に生息するムカデ(百足 – Tausendfüß(l)er – millipede, centipede – myriapoda, millipède, mille-pattes )の一種( Illacme tobini )などは、足が414本あり、ペニスが4本もあるということです。どうしてそんなにあるんでしょうかね。同種の Illacme plenipes などは足が750本もあって足の数では世界一ということですが、千本には至っていません( Cf. SZ, MWP, 26.10.2016 )。
ヘーゲルが男性器のペニスは生殖と排泄という人間の最高次と最低次の欲求を同時に満足させるための器官であり、弁証法( Dialektik – dialectic(s) – dialectique )の好例であると述べていますが、高次と低次と言うような価値判断の是非はひとまず置くとして、いずれも生存に必要な機能であるため、無駄を省くという合理的理由から一器官に纏められているのは、納得のゆけるところです。ヘーゲルの弁証法はアリストテレスがほぼ完成させた形式論理学( formale Logik – formal logic, symbolic logic - logique formelle )をさらに発展させ、立体的論理構造を時間軸に沿って解明した4次元構造の論理学で、マルクスとエンゲルスが絶賛しているように画期的なものです。しかしまた両者ともに指摘しているように観念論的な制約や当時の最先端とは言え 200 年前の科学研究ですから、その全てが全て正しいものであると言うこともできません。例えば存在論の端緒に存在即無(0019 rein pure pur 清らか 純粋を参照)から成を導出するところなど、少なからず苦しいところもあります。また同様に男性の勃起を女性の経血と対応( Cf. Hegel, Enz2, §369, Zusatz )させたりもしていますが、これも全くのナンセンスです。後で見るように女性のクリトリスも勃起するため、ここに対応を見るべきであり、不要になり崩壊した子宮内膜細胞と共に排出される未受精卵子に対応するのは、夢精で体外に放出される精子でしょう。ヘーゲルはまた同じ意味合いでペニスが躍動する感情( das tätige Gefühl )であるのに対して、クリトリスは不活性な感情そのもの( das untätige Gefühl überhaupt )だなどとも言っていますが、これも解剖学的な誤りに基づいたものです。ヘーゲルは講義時点での最新の研究結果、例えば前述の性分化疾患研究を基にした男女性器の分化過程などを考慮していますが、女性の外性器の研究はまだまだ軌道には乗っていなかったようです。当時は勃起を引き起こす海綿体は男性に特有のものであると思われていたり、後に述べるGスポットの発見などもヘーゲル死後100年以上も経ってからのことです。現代のフェミニズムの女性たちは、交接兼排泄器官であるペニスなどとは大違いに、クリトリスこそ、その機能は唯一快楽を享受するための躍動に満ちた器官そのものであると誇り高く宣言しています。ニシキヘビの後足の跡のように必要性がなくなって半分退化したのか、はたまた性の歓喜に特化した存在なのか、よくは分かりませんが。
ドイツでは日本よりもいち早く性教育を導入しましたが、学校で習うのはほんの少しであまりよく分からないため、今年で60年目を迎える少年少女雑誌『ブラヴォー』が性教育欄を設けて、大いに役立つことになりました。
Die "Bravo" war bei uns immer ein Dorn besonders im Auge des besorgten Vaters. Am Ende seiner Geduld war er dann, als das minderjährige Töchterlein folgende Frage zu lesen bekam, geschrieben an das Dr.-Sommer-Team irgendwann in den Neunzigern: "Passt sein Penis (xy Zentimeter) in meine Scheide (xy Zentimeter)?" Der Vater, selbst Journalist, war so empört, dass er der Tochter zu deren Entsetzen ankündigte, über solche Ferkeleien bald mal einen Artikel in die Zeitung zu schreiben. Und er machte ein Angebot: Du kaufst nie mehr die "Bravo", ich abonniere dir dafür die "Brigitte Young Miss". Ich mochte die "Young Miss" und kaufte die "Bravo" von da an also heimlich. Die "Young Miss" wurde vor zehn Jahren eingestellt. Die "Bravo" wird 60. (SZ, Katharina Riehl, 20.08.2016)
『ブラヴォー』は私たちの家(うち)では、常に煙たがられていて、特に子供のことを心配する父親にとっては頭痛の種でした。父が堪忍袋の緒を切ったのは、未成年の娘っ子が90年代の何時のことか、次のような読者からのゾマー博士チームへの質問を眼にした時でした――「彼氏のペニス(~センチ)は、私の膣(~センチ)に合うでしょうか」。父もジャーナリストだったのですが、驚く我が子に向かって、こんな淫らなことをよくも書けたものだ、そのうちにこちらで記事にしてやると宣言するほどにショックを受けたのでした。そして私が『ブラヴォー』をもう買わないと約束するなら、代わりに『ブリギッテ・ヤングミス』を定期購入しようと言い出しました。私はこの雑誌も好きだったので喜んでその提案を受け入れ、それ以来『ブラヴォー』はこっそりと買うことになったのです。『ヤングミス』は10年前に廃刊になりましたが、『ブラヴォー』は今年で発刊 60 年目の誕生日を迎えます。(『南ドイツ新聞』カタリーナ・リール)
筆者が中学二年生くらいの頃、隣家に見るも眩しいほどの美貌の人妻が住んでいました。ある時買い物する間、2~3歳の娘のMちゃんを見ててと頼まれて喜んで引き受けました。というのも、下心があって、女性の秘所がどんな風になっているのか、一度見てみようと思ったからです。Mちゃんに何だかんだと言ってパンツを脱がせて観察することにしましたが、割れ目をみると、幼児だからまだ発達も十分でないようで、かなりがっかりした覚えがあります。Mちゃん、遅くなったけど、御免ね。まだインターネットなど発明されていなかったので、情報を得るのはそれは大変だったのです。家の本箱にも大したものなどなく、ヴァン・デ・ヴェルデの『完全なる結婚』や発禁処分のロレンスの『チャタレー夫人の恋人』などぐらいしか見当たりませんでしたが、どちらもあまりよく分かりませんでした。そのうちには謝国権の『性生活の知恵』などもでてきましたが、無粋な人形が絡まっているだけで、セクシーな感じは全然しませんでした。小学校の高学年で同級にどこかの組員の息子がいて、数人で教室の後ろに固まって何やら見ているので、何だ何だと言って覗いてみると、男女交接の局部を撮った白黒写真でした。とにかく当時は情報に飢えていた時代だったのです。最近は情報は十分にあるのに、児童ポルノなど変態的なものが盛んですが、そんなのは一体どこがいいんでしょうか。まあ、そういう変態的嗜好は心理学で解明すべきものでしょうが、日本文学でノーベル賞を受賞した川端康成なども大いにその気(け)があったことが、死後に判明しています。ヒヒ爺め!何が伊豆の踊子だ?そんなのなら、踊子の卵だろうが。谷崎潤一郎などはしっかりと成熟した女性たちが相手だぞ、そういうところに興味がないのは、やはり心理的に問題があったに違いない。LGBTなら文学でも現実でも問題ないが、小児性愛は金輪際ダメ。心理学者にでも診てもらえばよかったのに。まあ、そんなことをしても、あまり効果はなかったでしょうが。
(続く)